2011年6月28日 (火)

アイ子登場

女子会から帰ってきた9253が「明日iphoneを見に行こう」といつになく強硬に云うのでどういう成り行きでその思考に思い至ったのか聞くと「きのう女子会に行ったら私以外全員iphoneだった。みんなiphoneを持っていた。みんな各自の持つiphoneを見せ合いながらきゃっきゃしていて楽しそうだった。自分ひとりだけ持っていない。話に入っていけない。iphoneを見に行くだけ見に行こう」とのこと。数時間後、大型家電店のサービスカウンターで私たちは腕が蕁麻疹だらけの女の子から早口で説明を受けていました。女の子の話は一切頭に入らず右から左へと駆け抜け、私は日本全国に何者かによって浸透させられた「女子会」なるものについて惚けたように思いを巡らせていました。たしかに「女子会」は消費を牽引するキィワードだ。新しい商品、新しいグルメ、新しいエンタメの情報がそこできゃっきゃと交換され、消費が喚起され、行動に移され、そこにもれなく彼氏、旦那、家族がくっついてくる。どこぞのマーケティング野郎が思い描いた美しいヴィジョンが今まさにここに、今ここで起こっている、今このサービスカウンターに座っている俺たちこそまさに「女子会」のたどり着く美しいゴール地点。会議室のホワイトボードにすらすらと書き記されていくマーケの理論図が経路をたどってパスされ、またパスされ、もんどりうってヘディング、シュート!ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!
そしていま私の手元には黒くて縦長の得体の知れないモノリスのような物体が握られているのです。最初のケータイは「かつ子」(2001〜2008)で、次が「ミーナ」(2008〜2011)。新しくやってきたこいつは「アイ子」と呼びます。

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2008年6月22日 (日)

ケータイ小説 〜その後〜

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あたしも孤独
アイツも孤独

そんな心の隙間を埋めたくて
ひとはひとりじゃ生きてゆけなくて

でもこの街はあまりにもからっ風が冷たくて
びゅーびゅーびゅーびゅー冷たくて
風速40米ってかんじ?
エ、ふざけるんじゃねぇよ
雨まで降ってマジむかつくわ…

「おい、ミンナ!どこへいく!なんだそのかっこは」
またアイツの声が聞こえる

ここは地獄の三丁目
あたしは今日も孤独を抱えて生きてゆく

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雑誌「ageha」を参考しつつ、おじさんとしてはがんばって石を貼って心の隙間を埋めてみましたが、大仏の頭っぽいというか、デンジマンのストロング金剛の頭っぽい、というか凶器っぽくなった気がします。

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2008年3月24日 (月)

ケータイ小説

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あら、ずいぶん久しぶりじゃない。お元気?少し太ったんじゃなくて?ま、変わりなさそうね。そんなトコ突っ立ってないで座ったらどう?あんた、もう少し顔見せてよあんた。一体今まで何して何処にいたのよ、ずいぶん待ったのにあたしをそこらへんに何ヶ月もほっぽり出して指一本ふれてもくれない、電源さえもろくに入れてくれないじゃないのさ!こんなのあんまりだわ、一体あたしはあんたの何なのよ、携帯!?馬鹿にしないで頂戴!(涙)ええ、ええ、いいわよ、ハンカチ持ってるわよ、いらないわよ、同情なんか真っ平よ(涙)。最初の頃は楽しかったわね、あんたまだウブで可愛かったし。あたしの扱い方なんかカラっきしなってなくて、もう8年たった?時間って残酷ね、あたしもお婆さんになるはずだわ。画面も白黒だしカメラもないし、アンテナなんかどう?根元から折れてしまって、通話一回、メール一回、受信一回で電池切れ、おまけにバイブレーション機能なんか遅くなる一方。もうだめよ、ずたずたよ。どんどん取り残されていくわ。あたしもね、若い頃は初めての防水機能ってもてはやされたの、それがどう?防水なんて何のアドヴァンテージでもありゃしない、さっさと廃れたわ、でもいいの、あんたとの8年間があったから。ねえ憶えてる?初めてあんたが絵文字使った時のこと。グーに爆弾ってわけわからないわ。可笑しいったらありゃしない(涙)、ハンカチ持ってるわよ、いらないわよ!濡れても平気なのよ!

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それで…あら、あなた、誰?
ああそう、そういうこと。そういうことだったの、やっぱりあんたも若い娘がいいの、嗚呼くやし、くやしぃいい!もう離さないなんて云ったのどこの誰、あたしこれでも2001年グッドデザイン賞受賞よ、こんなブサイクに乗換えるなんてあたしへの面当て?待ってたあたしが馬鹿だった!ふん、あなた、カメラもついて画面もカラーで世界通話可能で音楽も聞けるって、そのご面相でまあご立派だこと、ブラヴォーよ。いいわ、いいわよ出て行ってあげる。あたしね、出番が終わっていつまでも舞台でうろうろしてるようなみっともない真似したくないの。スポットライトが消えたらあたしはもういない、サッサと出て行くの。「老女優は去りゆく」よ、ピアフよ。このブサイクにはわかんないでしょうけど。ええ、出て行きますとも。嗚呼さっぱりした、こんな男と8年間もあたし馬鹿みたいホント。あなた、あなたさっきから黙ってないで何とか云ったらどうなのよ、日本語つうじないの。今はね、若くてちやほやされるでしょうけどキット何時か年をとって捨てられるのよ、あたしみたく。ね、それまでせいぜい楽しんでらっしゃい。それじゃあ、お幸せに、さようなら、このブサイク!嗚呼それとね、この男、基本的に携帯は不携帯だから何時も一緒にいたいなんて願望はやく捨てた方がいいわよ。だったら何で持ってるのかしら馬鹿よね、基本料金払って意味ないじゃない不携帯なんて、最低よ。(バタン!)


かくして勝子は去っていった。これからはフィンランドからやってきた新しいパートナー、ミンナと私は暮らしていくことだろう。


おわり

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