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2016年10月13日 (木)

歌舞伎座十月公演、浅草ロック座、大向う

 還暦を過ぎた母が政府から何やら現金が支給されたからその金を使って歌舞伎に行こうと唐突に言い出しました。で、母と9253とTVKの四人で新しくなった歌舞伎座に中村橋之助あらため中村芝翫を始めとする成駒屋出演の十月歌舞伎を観に行きました。凶と吉がいっぺんに来ちゃった中村芝翫はきっといま一番神ってるに違いないと連日満員御礼のようです。

 歌舞伎ってだいたい「舞踊」→「芝居」→「舞踊」→「芝居」のテレコで部が構成されていることが多いんですが、この「舞踊」が昔は退屈で退屈ではやく終わんねえかな、と思っていたのが年を食うと何故か芝居よりも踊りの方が俄然興味深くなってくる、というのはちょっと発見でした。「成駒宝船」の衣装の色の合わせ方とか複数のフォーメーションの形だとか、引きで眺めたときのバランス計算がさり気なくされていてあー綺麗だなと純粋に思いました。あと今回はじめて「大向う」と呼ばれる人が声かけてる瞬間を間近に見ました。あれって誰でもやっていいんだと思っていたんですがそうじゃなくて「大向うの会」という会に所属してるプロがやってるらしいですね。「ン成駒屋っ」って叫んだあとすぐにサッとどっかにいなくなっちゃう。あれはお金もらってるんでしょうか。

 次の日、TVKが剣道で9253も一緒に出かけたのですることがなく、テレヴィをだらだら観ていても仕様がないので勝手に「お父さんデー」にすることに決め、靴を履いて電車に飛び乗りました。上野から地下鉄に乗り換えて浅草で降りると、もう何も迷うことなく一心不乱に外国人観光客を掻き分けながら六区へ出てそのまま生き急ぐかのごとく浅草ロック座に飛び込みました。予々家族がいないタイミングでストリップショーを体験してみたいと思っていたのです。階段の壁にはもうダンサーたちの妖艶なポスターが連なり、ここが桃色の風俗店であるという事実を突きつけてきますが己を鼓舞してモギリに金を払いました。狭いロビーにはいかにも来なれてる中年男性たちが煙草を吸いながらダンサーたちの話題に花を咲かせていて、その奥にはちょっとしたカウンターバーもあります。館内に入ると前方ステージから花道が延びておりその両脇に座席が組まれていてほぼ満席状態。なかには女性どうし数人や夫婦の姿も見受けられ案外カジュアルなんだなあと思っているとブザーが鳴り、前方のやや花道から離れた席に遠慮して座りました(これが失敗で、花道に近い席が優良席だと後で気づいた)。2時間近いステージは7人のダンサーごとに区切られてそれを「景」という単位で呼ぶことを知りましたが、女体を「景→ながめる」というニュアンスを多分に含んでいるとしたら相当イキなことです。ここでも歌舞伎同様にTPOがあって拍手のタイミングとダンサーが大きく股をひらく(つまりグラン・テカール!!)時にひと際大きく拍手するということと、「成駒屋!」ならぬ「蘭ちゃん!」とか「ツグミちゃん!」とか云う大向うが存在しています。

 キラキラ光るミラーボールを背に花道に仕掛けられた回り盆がウェディングケーキのようにせり上がる中央で完成された様式美をみせる裸体の女性を見上げているとこれがホントに男の本能の不思議なところなんですが涙が出てくるのですよ、で、泣きながら激しく拍手してる自分に驚きながら全7景しっかり堪能しました。「浜野屋!」とか「武藤屋!」とか発声したいぐらい。ストリップというとキューバンボーイズの「TABOO」かなんか掛けながら如何わしい素人踊りをニヤけながら観ている場(アメリカ南部の場末イメージ)を想像していたのですが全然そういう感じがありません。まぎれもないプロフェッショナル魂と掛け値なしの厳しいショービジネスが存在するだけ!何事も経験しないとわからない世界というのがまだまだあるんですね。

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