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2014年5月23日 (金)

まりちゃんのこと

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今夜は思う存分まりちゃんのことについて書こうと思います。

嫁も子供も寝たことだし。

保育園が一緒だったまりちゃんとの出会いはお互いがまだ1歳の頃でした。物心が付きだした3~4歳の頃には認識しあっていました。

まりちゃんの容貌は幼児とはいえ子供心にもはっきり整っていると断言できるもので、目が大きいショートボブで性格は内向的。ささやきに近い低音で、うすく笑いながら喋る感じの女の子でした。

彼女のお母さんは外務省かどっかのキャリアで私の母は編集者で、お互い母親のお迎えがいつも最後の最後でした。友達がお母さんに次々と手を引かれて賑やかに帰って行くのを見送りながら夕方残された二人は広い遊戯室の片隅で自然発生的にママゴトをはじめる訳です。まりちゃんがお母さん役で私がおとーさん役で。まりちゃんはプラスティックで出来たお茶碗、お箸、コップ、お皿をかなり几帳面に幾何学的にゆっくり並べて食卓を再現していきます。皿の上の料理はオハジキかビーズで代用し、その準備にかける所作は今思うと茶道を見ているような静謐さがありました。

そしてかなり口数の少ないママゴトだったと記憶しています。

「御飯どうぞ」「はいどうも」「ごちそうさま」「はいどうも」「天気良いですね」「ああいいですね」という小津映画のワンシーンか、果ては倦怠期の夫婦かというくらいセンテンスの短い会話が続く静かな疑似食卓です。私は毎日のまりちゃんとのママゴトを嬉しいとも楽しいとも何とも思いませんでした。そういう感情とは別のぼんやりした時間でしたが嫌ではありませんでした。

2年ほどの疑似夫婦生活は突然終りました。

5歳になった私は家族で引っ越しをすることになり保育園を移ったのです。

まりちゃんに何にも云わずに。

引っ越しして数ヶ月後たったある夕方、母親と一緒に前の保育園にアポ無しで挨拶に行きました。

遅い時間だったので友達はいませんでしたが、まりちゃんが一人いました。

園長と母が談笑する傍ら、何も喋らないまりちゃんに手をひかれて遊戯室へと連れて行かれた私はちょっと吃驚しました。部屋の片隅には完璧な状態でお茶碗、お箸、コップ、お皿がセッティングされていたのです。まりちゃんはおとーさん役の私がいなくなった後もたった一人で毎日ママゴトを続行していた訳です。おとーさんの帰りを待ってたんですよ!!!

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コメント

かるいホラーにも思えるおもひで...
素晴らしい。
メトロン星人ばりの夕景のちゃぶ台と保育園のロッカーや床がワックスの匂いとともに蘇ります。私の記憶ではないにもかかわらず。4~5歳の娘で妙にアンニュイな子は、
ある種の妖怪や妖精に通じるなんかがありますねよ。

投稿: さむ。 | 2014年5月27日 (火) 16時31分

SAMお久しぶりー!!
このまりちゃんが今40歳になってどんな女性になっているのか、興味あります。美人だったからきっと素敵な旦那さんとシアワセな結婚をしているだろうと思うけど、旦那さんの帰りをずっと待っているんだろうか、とも思うのですよ。

投稿: TAKE | 2014年5月27日 (火) 22時24分

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