« るるるの歌 | トップページ | 鳥取米子へ »

2010年7月29日 (木)

二度と来ないで、つらいから。

近所にある「いそじま書店」が突然店を閉めてから東京は梅雨明して恐ろしい猛暑の到来となりました。今その「いそじま書店」には空き店舗の札が張られてシャッターががたがたと音を立てております。ここに限って云えば、出版不況とかipad登場とか、そういう「社会情勢を受けて」みたいな分かりやすい「成って起きた」的事情ではなく、もっとドメスティックな、あるいは不条理な店主の気分的問題だと私は確信しているのですが。
 「いそじま書店」はたしか私が中学生の時期に開店したと記憶してます。店内のBGMがいつも演歌かムード歌謡のわりに「葉っぱのフレディ」とか「チーズはどこにいった」とか「ぽっぽや」とかエゲつない流行書を大プッシュする姿勢、「フォーブス」や「週刊ダイヤモンド」といったお固いビジネス誌の隣がいきなりエロ本、エロDVDコーナー(しかも大量)というぱっきりしたグラデーションを持つ店内レイアウト、そして店主がかなりインパクトの強い人でいつも着ている黄色いTシャツの袖を肩までまくり上げ、パンチパーマ(近所の主婦たちの噂では絶対カツラだとのこと)に眼鏡で「いらっしゃいませ」のイントネーションが聞く側をかなりムカつかせる変節を持つ人でした。志村けんが「あ〜み〜ま〜」と云う時のイントネーションを裏声で「いらっ↑しゃい↓ませ〜→」と発音し、興が乗ってる時はその頭に「は〜ぃ」という気の抜けたイントロが入るのですが、これは客がレジの前に立って商品を差し出す数秒前に発せられるので、これを聞きたくない私はレジに立ったら冷酷な面持ちで即座に、早撃ちガンマンのように商品を店主の手元に滑り込ませ、「いらっ↑しゃい↓ませ~→」を云わせないように心がけていました。

ここで何冊「ぴあ」を購入したことでしょう
ここで何冊「ロードショー」を購入したことでしょう
ここで何冊「でらべっぴん」を購入したことでしょう

 私はこの20年にわたる闘いの中で、一度も店主の口から「いらっ↑しゃい↓ませ~→」を云わせなかった。それが今になってみると「悪い事した」と謝りたい気持ちで一杯なのです。だからこの夏、私は家で必死に店主の真似で「いらっ↑しゃい↓ませ~→」を試みているのです(一人で)。

|

« るるるの歌 | トップページ | 鳥取米子へ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/149724/49008006

この記事へのトラックバック一覧です: 二度と来ないで、つらいから。:

« るるるの歌 | トップページ | 鳥取米子へ »